ドバイ万博2020:心をつなぎ、未来を創る国際舞台

万博

2021年10月1日から2022年3月31日まで、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催された「ドバイ国際博覧会(Expo 2020 Dubai、以下ドバイ万博)」は、中東およびアフリカ地域で初めての登録博覧会として世界中から注目を集めました。

新型コロナウイルス感染症の影響で当初の2020年から1年延期されたものの、約2,410万人の来場者を記録し、成功裏に幕を閉じました。

テーマである「心をつなぎ、未来を創る(Connecting Minds, Creating the Future)」のもと、192カ国以上が参加し、持続可能な未来やイノベーションを体現する展示が行われました。

このブログ記事では、ドバイ万博の概要、特徴、日本館の取り組み、そしてその意義について詳しく紹介します。

 ドバイ万博の概要

ドバイ万博は、438ヘクタール(約1,083エーカー)の広大な敷地に建設された会場で開催されました。

この会場は、ドバイとアブダビの間に位置し、3つの主要テーマエリア(持続可能性、機動性、機会)に分かれていました。

各エリアは、巨大なポータルゲートで象徴され、来場者はこれらのゲートを通って未来志向の展示を体験しました。

会期中の来場者数は約2,500万人を目標に掲げ、最終的にその目標に近い2,410万人を達成。

約3分の1が海外からのインバウンド客で、コロナ禍での開催としては驚異的な集客力でした。

万博のテーマ「心をつなぎ、未来を創る」は、持続可能な開発目標(SDGs)や技術革新を通じて、異なる文化やアイデアが交差する場を提供することを目指しました。

参加国はそれぞれのパビリオンで自国の文化、技術、ビジョンを展示し、国際協力を促進するプラットフォームとなりました。

また、UAE建国50周年という節目の年に開催されたこともあり、国家的威信をかけたイベントでもありました。

 ドバイ万博の特徴

多様なパビリオンの展示

ドバイ万博では、約190カ国・機関が参加し、85カ国が自前でパビリオンを建設しました。

各パビリオンは独自のテーマとデザインで来場者を魅了しました。

  • UAEパビリオン:鷹の羽を模したデザインで、持続可能性とUAEの未来志向を表現。
  • 中国パビリオン:「人類運命共同体の構築」をテーマに、AIや現代交通技術を展示。パンダロボットや太極拳パフォーマンスが人気を集めました。
  • 韓国パビリオン:「スマートコリア」をテーマに、K-POP公演やAR技術を活用した展示で若者を惹きつけました。

これらのパビリオンは、最新技術や文化的要素を融合させ、来場者に没入型の体験を提供しました。

日本館:アイデアの出会い

日本館は「Where ideas meet(アイデアの出会い)」をテーマに、6つの展示ゾーンで日本の歴史、文化、技術を紹介しました。

経済産業省と日本貿易振興機構(ジェトロ)が運営を担当し、最新の空間演出やプロジェクションマッピングを駆使した没入型の展示が特徴でした。

特に、極微細ミストを使った幻想的な空間や、来場者の行動をデータ化して展示内容を変化させるインタラクティブな仕掛けが高評価を得ました。

日本館のハイライトの一つは、2025年大阪・関西万博のPRブースでした。

約150㎡のスペースに夢洲会場の模型や大型スクリーン、メッセージ入力エリアを設置し、来場者に大阪・関西万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を紹介。

特設ウェブサイト「循環 JUNKAN -Where ideas meet-」では、世界中の人々が社会課題や解決策についてメッセージを投稿でき、万博を身近に感じる機会を提供しました。

さらに、日本館内のレストランとして、中東初出店となる回転寿司「スシロー」が登場。

ハラル食材を使用した約120種類のメニュー(まぐろ、えびアボカド、オリジナルメニューのまぐろアボカドロールなど)を提供し、ムスリムを含む多様な来場者に日本の食文化を伝えました。

開幕初日には2時間待ちの行列ができるほどの人気でした

ジャパンデー:日本の魅力を発信

2021年12月11日に開催された「ジャパンデー」は、日本館の集大成ともいえるイベントでした。

公式式典では、UAEのサラ・ビン・ユシフ・アル・アミリ先端科学担当大臣と日本の磯俣秋男駐UAE大使がスピーチを行い、両国の友好を強調。

和太鼓演奏、合気道の演武、ドバイ日本人学校の生徒による南中ソーランなど、日本の伝統と現代文化を融合したパフォーマンスが披露されました。

また、パレードでは2025年大阪・関西万博をPRする横断幕を掲げ、会場全体が日本色に染まりました。

バーチャル日本館:デジタル体験の革新

コロナ禍での開催を考慮し、日本館は「バーチャル日本館」を開設。

2つの特設ウェブサイトを通じて、世界中からアクセス可能なデジタル体験を提供しました。

特に「循環」プラットフォームでは、来場者が社会課題に対するアイデアを投稿でき、これが2025年大阪・関西万博に引き継がれる仕組みでした。

この取り組みは、万博の新しい参加スタイルとして高く評価されました。

 ドバイ万博の意義

コロナ禍での成功

ドバイ万博は、コロナ禍で開催された世界最大級のイベントとして、厳格な安全対策のもと成功を収めました。

UAEの高いワクチン接種率や入場時の健康チェックが功を奏し、来場者の安全を確保。航空会社(エミレーツ航空やエティハド航空)による無料ワンデイパスキャンペーンも、インバウンド客の誘致に貢献しました。

この成功は、2025年大阪・関西万博に向けた重要な教訓となりました。

2025年大阪・関西万博への橋渡し

ドバイ万博は、2025年大阪・関西万博の機運醸成の場としても機能しました。

閉幕式では、国際博覧会旗が大阪府知事吉村洋文氏と大阪市長松井一郎氏に引き継がれ、次なる万博への期待が高まりました。

日本館でのPR活動や折り鶴配布イベント、ソーラー船「ポリマ号」によるメッセージセレモニーなど、さまざまな取り組みが大阪・関西万博の認知度向上に寄与しました。

持続可能性とイノベーション

ドバイ万博は、SDGsの達成に向けた議論や技術展示の場でもありました。

会場跡地は「エキスポ・シティ・ドバイ」として再開発され、2023年のCOP28の開催地となるなど、持続可能なレガシーを残しました。

日本館も、循環型社会や技術革新をテーマにした展示を通じて、未来社会のビジョンを提示しました。

 閉幕とその後

2022年3月31日の閉幕式では、クリスティーナ・アギレラ、ヨーヨー・マ、ノラ・ジョーンズなどの世界的アーティストによるパフォーマンスが行われ、盛大に幕を閉じました。

閉幕後、会場は「エキスポ・シティ・ドバイ」として再開され、商業施設や教育機関として活用されています。

このレガシーは、万博が一過性のイベントではなく、地域の長期的な発展に貢献するモデルを示しました。

 まとめ

ドバイ万博は、コロナ禍という困難な状況下で、異なる文化やアイデアを結びつけ、未来への希望を提示する場となりました。

日本館の革新的な展示や大阪・関西万博への橋渡しは、日本の技術力と国際協力を象徴するものでした。

2025年4月13日から大阪・関西で開催される次なる万博では、ドバイ万博の成功を踏まえ、さらに多くの人々が「いのち輝く未来社会」を共創するでしょう。

ドバイ万博の遺産は、これからも世界のイノベーションとつながりを加速させる原動力となるはずです。

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